砂防関係施設に係わる地質調査講習会*質問事項と回答

令和5年7月18日(火)コラッセふくしまにて開催しました講習会でいただきましたご質問にお答え致します。

質問事項と回答

■ 2.断層が想定されたため弾性波探査を実施した事例(P54)

P54に「弾性波探査結果より断層位置を把握できた」とありますが、断層部とそうでない部分では弾性波速度にどの程度の差があったのでしょうか?

【熊谷回答】

・推定断層(低速度帯)…1.8~2.0km/s位

・新鮮岩…4.2~4.4km/s位

弾性波速度としてはおよそ2.0~2.5km/s位の差がありました。

■ 3.電気探査で岩盤の分布を想定した事例について (P62)

P62事例1,P68事例2で、弾性波探査ではなく電気探査を選択した理由を教えて下さ い。また、費用どの程度掛かったのでしょうか。

【渡部回答】

弾性波探査ですと地下水飽和層の弾性波速度が1.4程度と同じになってしまい、地層区分が出来ないこと。また、岩盤と礫層では比抵抗のコントラストが大きいことから採用しています。また、鉛直方向の構造は電気探査の方が検出しやすいと経験的に考えています。

■ 5.老朽化した砂防えん堤の調査事例]について (P85)

P85の上図を拝見すると既設堤体においても標準貫入試験を実施しているように見えます。堤体において標準貫入試験を実施する目的を教えていただけますと幸いです。

【蓮沼回答】

柱状断面に表示されているものは、N値ではなく、RQDと最大コア長になります。RQD とは1m区間毎の10cm以上を示すコアの総長で、最大コア長はその1m区間内での最長の コアの長さとなります。したがって、標準貫入試験は実施しておりません。

■ 測量設計業協会と地質調査業協会の合同講習会にて設計担当者と地質調査担当者が同じ話を聞いて、どちらの考えも把握出来ればより理解が深まるのかなと思いました。
【小澤回答】

同意いたします。アンケート結果では「発注者様側の意見を聞ける機会は中々ないため、⑦の講習は非常にありがたかった」とのご意見もありました。

当協会といたしましては、発注者や測量設計,施工管理会社等の講演や問題提起を聞く ことで学び得るものがたくさんあると考えます。

■ 袖部を人工地山とする場合の調査方法について

砂防堰堤において、袖部を人工地山とする場合の地質調査はどのように考えれば良いでしょうか?

人工地山設置の際においては、地山の基礎地盤というよりは地山が安全に切土できるかどうかの評価が重要になると考えます。そのためにはボーリング調査により切土のり面調査を基本とすることが提案されます。